事業報告

公益財団法人 三重医学研究振興会事業報告書(令和5年度)

  • 令和6年4月1日
  • 公益財団法人 三重医学研究振興会
  • 理事長 竹田 寬

1.事業報告

公益財団法人三重医学研究振興会が実施した事業は、令和5年度の実施計画どおり次の①医学・医療分野の学術研究の推進のため研究者への助成、②医療従事者(医師を除く)を対象とした研修会、講習会等の活動実施団体に対する助成、③健康教育に関する公開講座の共催について次のとおり実施しました。

1. 医学・医療分野の学術研究の推進のため研究者への助成

本事業は、当財団の中心的な事業であり、三医会と三重医学研究振興会が合同して研究助成を行うことにより、その対象も学術研究だけでなく、診療や医学教育などの分野で顕著な業績を挙げた医師や医療人にも拡げ、若い医師にも焦点を当て公募を行った。また、選考方法も真に受賞に値する人が選ばれるよう厳正で客観的な評価法を用い慎重に実施した。応募については、令和5年7月14日付けで三重大学医学部、同附属病院、三重県立看護大学、鈴鹿医療科学大学及び三重県内の病院((社)三重県病院協会加盟の病院82病院)の医学・医療の研究者を対象に「三医会・三重医学研究振興会合同による研究助成金応募要項」により三医会賞(医学研究部門)、三重医学若手研究者賞(医学研究部門)吉田 壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門)、三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門)、緑の風記念三重医学研究振興会賞(基礎医学・看護学部門)の関係書類を送付すると同時に、ホームページを通じ広報するとともに三重県医師会の機関誌「三重医報」に応募要項を掲載し、周知に努めた。

その結果、9月30日の締切日までに16名(三医会賞(医学研究部門)3名、三重医学若手研究者賞(医学研究部門)7名、吉田 壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門)0名、三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門)2名、緑の風記念三重医学研究振興会賞(基礎医学・看護学部門)4名)の応募があったが、吉田 壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門)、三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門)については、応募者が少なかったため応募期間を10月31日まで延長した。その結果、吉田 壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門)3名、三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門)3名となり、最終的に応募者は20名となった。応募者の所属は、三重大学大学院医学系研究科6名、同医学部1名、同医学部附属病院8名、神戸大学医学部附属病院1名、慶應義塾大学医学部生理学教室1名、市立四日市病院1名、伊勢赤十字病院1名、藤田クリニック1名、の応募があった。

 

令和5年12月8日開催の「医学研究助成金選考委員会」において審査した結果、次の研究者に助成することを決定した。

助成総金額 1,100万円
└三医会賞(医学研究部門)300万円(1名)
└三重医学若手研究者賞(医学研究部門)300万円(60万円 5名)
└吉田 壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門)200万円(100万円 2名)
└三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門)100万円(1名)
└緑の風記念三重医学研究振興会賞(基礎医学・看護学部門)200万円(80万円 1名、50万円 1名、40万円 1名、30万円 1名)

 

なお、令和5年12月17日に「令和5年度三医会・三重医学研究振興会研究助成金贈呈式」を開催し、授賞式(研究助成金贈呈証)を授与した後、研究成果のプレゼンテーションを行った。

 

三医会賞(医学研究部門): 助成金額300万円

慶應義塾大学医学部生理学教室 助教 森本 悟(37歳)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)および関連疾患の病態解明と治療開発

三重医学若手研究者賞(医学研究部門): 助成金額60万円

三重大学医学部附属病院 脳神経外科 診療等従事者  中野 芙美(39歳)

くも膜下出血後早期脳損傷における上皮成長因子受容体-nuclear factor-kappa B経路の働きに関する研究

三重大学大学院医学系研究科 医動物・感染医学分野 助教 西 翔(29歳)

マラリア原虫有性生殖ステージ特異的転写因子の標的遺伝子解析による生殖母体および接合体ステージ形成機構の解明

市立四日市病院消化器内科 医員 加藤 宏紀(35歳)

市中病院での消化器内科領域における新規デバイスの開発及び臨床応用について

三重大学医学部 医学・看護学教育センター 助教(循環器・腎臓内科学) 石山 将希(38歳)

Effects of a Rho-Kinase inhibitor in patients with pulmonary hypertension due to left heart disease

三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科 助教 玉井 康将(37歳)

慢性肝疾患とサルコペニアに関する研究

吉田壽記念三重医学研究振興会賞(臨床医学部門): 助成金額100万円

三重大学医学部附属病院 整形外科 講師 明田 浩司(52歳)

多血小板血漿を用いた椎間板治療の開発と臨床応用

三重大学医学部附属病院 消化器病センター 助教 胆膵部門長 統括医長 山田 玲子(47歳)

消化器内科、胆膵領域の内視鏡診断及び治療、化学療法の研究、三重県全体における膵がん早期発見プロジェクトの立ち上げに尽力

三重医学貢献賞(医学教育・社会貢献部門): 助成金額100万円

三重大学医学部附属病院 臨床研究開発センター 講師(産婦人科)真川 祥一(37歳)

三重県内でのCOVID-19罹患妊婦の救命、治療を三重大学附属病院の第一線で行うと同時に、罹患妊婦の状態悪化にいつでも対応できるシステムを構築、運用に尽力

緑の風記念三重医学研究振興会賞(基礎医学・看護学部門)

三重大学大学院医学系研究科 医動物・感染医学講座 助教 関根(金子)伊澄(44歳) 【助成金額80万円】

マラリア原虫のステージ特異的遺伝子発現機構の解明

三重大学大学院医学系研究科 看護学専攻 実践看護学領域(がん看護学分野)教授 角甲 純(39歳)【助成金額50万円】

がん患者の呼吸器症状の緩和に関する研究

三重大学大学院医学系研究科 分子病態学講座 助教 阿栄 高娃(42歳)【助成金額40万円】

シスプラチン誘発腸管粘膜障害に対する遺伝子組み換えトロンボモジュリンの粘膜保護効果とその作用機序解明

三重大学大学院医学系研究科腫瘍病理学(自然科学系技術部技術員)松田 知世(30歳)【助成金額30万円】

癌微小環境における前立腺癌細胞の癌幹細胞的形質の獲得について

2. 医療従事者(医師を除く)を対象とした研修会、講習会等の活動実施団体に対する助成

令和5年7月14日付けで公益社団法人三重県看護協会、一般社団法人三重県薬剤師会、一般社団法人三重県放射線技師会、一般社団法人三重県臨床検査技師会、一般社団法人三重県理学療法士会、一般社団法人三重県作業療法士会、三重県訪問リハビリテーション連絡協議会、三重県臨床細胞学会、一般社団法人三重県訪問看護ステーション協議会等に「医学・医療分野の研修会等開催助成金応募要項」等の関係書類を送付すると同時に、ホームページを通じ広報するとともに三重県医師会の機関誌「三重医報」に応募要項を掲載し、周知に努めた。
その結果、9月30日の締切日までに、公益社団法人三重県看護協会、一般社団法人三重県理学療法士会、特定非営利活動法人SunPanSaの3団体から応募があった。
令和5年12月8日開催の「助成金選考委員会」において審査した結果、次のとおり助成することを決定した。

 

特定非営利活動法人SunPanSa(助成金額100万円)

項 目 詳 細
対象事業名 ウクライナ傷病者に対するリハビリ支援事業の報告会並びに四肢切断/義肢リハビリの研修会
事業の目的 本法人は、ウクライナ傷病者3名(いずれも上肢切断)とその家族2名の計5名を松阪市に受け入れて令和5年4月から9月までリハビリ治療と生活支援を行い、5名全員が無事に帰国されました。そこで、その報告会を行うとともに、今回の経験をもとに外国人の四肢切断/義肢リハビリについての研修会を行い、ウクライナ傷病者リハビリ支援事業への理解を深め、特に日本での普及が遅れている筋電義手への理解を深めることを目的とする。
事業の実施方法

①ウクライナ傷病者に対するリハビリ支援事業報告会
②四肢切断/義肢リハビリ研修会

事業の実施期間

①及び②
・1回目 令和5年11月25日(土)
・2回目 令和5年11月26日(日)

事業の実施場所

①及び②
・1回目 済生会明和病院
・2回目 三重大学病院

参加者数

・1回目 28名
・2回目 18名

3. 健康教育に関する公開講座の共催

この公開講座は三重大学医学部との共催で、一般市民を対象に、医学、医療、保健及び福祉に関するテーマで、市民の健康に対する意識の向上と健康の保持、増進をもって地域医療の質的向上を図るための事業として実施するものである。

 

項 目 詳 細
開催日時 令和6年3月2日(土)9時00分~13時00分
場所 三重大学地域イノベーションホール
演題等 黒潮医療人養成プロジェクト 第2回合同シンポジウム
講演 ◎ 特別講演①
「 地元が担うビルド・バック・ベター(創造的復興)! -黒潮を介して育つ若い世代の共感と連帯-」
講師 日本WHO協会理事長、大阪大学名誉教授 中村 安秀 先生

◎ 特別講演②
「地域基盤型医療者教育 ~地域で学べるこんなことあんなこと~」
講師 富山大学医学教育学講座教授 高村 昭輝 先生

◎ 取り組み事例報告①
「防災訓練 -エアーストレッチャー搬送、iPadによる AR浸水没入体験-」
報告者/三重大学医学部生

◎ 取り組み事例報告②
「全方位カメラを用いたER教育システムの導入」
報告者/三重大学医学部附属病院救命救急・統合集中治療センター教授 鈴木 圭 先生

◎ 取り組み事例報告③「中部国際空港検疫所を見学して」
報告者/三重大学医学部生

◎ グループディスカッション
参加者数 203名(現地84名、オンライン119名)
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